◇新大陸通信・04号◇


 二次創作いろいろです。


◇ゲーム上の単位

 
 は、現実の地球とほぼ同じです。ただし1年は360日、1ヶ月はすべて30日。

 
〜何でそうなのかと聞かれた場合の言い訳〜

 ラクシアの単位系は、神紀文明時代に定められたものです。元はキルヒア神が神力で制定して、第一の剣の神々が受け入れたといわれます。「カルディアは長さ1m、重さ1kgだった」「始まりの剣が作られた世界の単位系をカルディアが伝えた」という説もありますが、あまり根拠があると思われていません。

 ちなみに「2.0」の『ザルツ博物誌』では、月日は「○の月○の日」表記でした。そこはフォーセリアと同じスタイルです。
 ……曜日はどうなってるんだろう。惑星はどうなるんだろうとか。
(解決法1)
 日曜〜土曜表記で押し通し、「実際は言語により異なる」という事にする。
(解決法2)
 惑星と関係ない表記にする。ポルトガル語の「主日、第二日〜第六日、安息日」タイプとか。


◇ケルディオン大陸は何で設定が定かでないのか

 
 公式設定に左右されずに遊ぶための場所だからです。

 
〜言い訳っぽいもの〜

 ケルディオン大陸は、〈大破局〉の際に、何らかの大規模な破壊(古代神の【コール・ゴッド】複数という説が有力です)を受けて、存在が不確定になってしまいました。現在のケルディオン大陸は、記録や記憶に至るまで、観測者によって矛盾する結論が出てきています。破壊が時間をさかのぼって及んだため、過去の歴史すら破壊されてしまったのだといいます。辛うじて生きている天上の魔動機でケルディオン大陸を観測しても、アルフレイム大陸に近い北西部を除いて、陸地の輪郭すらはっきりとしない混沌に包まれたままです。


◇アルフレイムの言語

 
 の細かい設定を勝手に創作です。
 ルールブックIIに種族言語の細かい設定があるので、妄想の余地はちょっとだけ少なくなりました。


☆自然言語

 
人間の地方語

 アルフレイム大陸では、魔法文明時代と魔動機文明時代に大規模な移民がほかの大陸からあったため、言語にも大きな影響を受けています。

オーラントレック語族
├ラファリア群島語
└大陸語群
 ├ブルライト地方語
 └ランドール地方語

 テラスティア大陸(おもにザルツ地方、ダグニア地方、モーロック地方)からの移民が伝えた言語が変化したものです。神紀文明時代の先住民の言語は呑み込まれてしまい、一部の単語などに面影を残すのみです。都会の方言より田舎の方言の方が、先住民の言語の名残を多く残すのではと見られ、魔動機文明時代後期に調査された記録があります。

スィーク語族
├ドーデン地方語
└コルガナ地方語

 レーゼルドーン大陸の言語の流れをくむ語族です。ドーデン地方は鉄道技術の発祥の地ですが、鉄道業界では交易共通語か魔動機文明語がおもに使われ、ドーデン地方語が使われる事はあまりありません。コルガナ地方には冒険者ギルドの本部があるため、ほかの地方では、コルガナ地方語が冒険者の間の暗号的に使われる例もあります。

ナザルス語族
├ウルシラ地方語
└ザムサスカ地方語

 神紀文明時代の先住民の言語の末裔です。発音や語法が大陸西部で主流の大陸外由来の言語とは大きくかけ離れており、全く通じません。魔動機文明語からの影響が弱く、魔動機文明関係の単語も逐語訳されたものがほとんどです。

 
種族語

 アルフレイム大陸の人間以外の種族も、テラスティア大陸とは異なる方言を話します。
 母語話者が学んで習得するわけではない(と思われる)妖精語でも、異なる自然環境のためか、微妙に感じ取れる違いがあります。メリアの妖精語は、複雑な言い回しを取る事により、妖精の妖精語には存在しない時間の概念を取り入れています。
 魔神語は異世界の言語であるため、個体ごとの違いが何に由来するのかは定かでありません。ティエンスの魔神語は母語ではなく、成人前に親から敵についての知識を学ぶ一環で教わります。
 リカント語は、アルフレイム大陸の人間の地方語のうち、先住民系の言語とつながりがあるとみられています。
 ライカンスロープ語は、リカントから第二の剣の神々に走ったライカンスロープの始祖の言語の末裔だという説があります――リカントはその説を拒否しますが、肯定否定共に確証となる情報は残されていません。


☆人工言語

 
神紀文明語

 神紀文明語は、神紀文明時代にラクシア全土で使われていた……らしい言語です。文字の意味だけ伝わり、発音が伝えられていないのですが、神紀文明語の「会話」が存在する事は、ヨーウィ(第三の剣の神を信仰する幻獣)や天使から確認されています。ヨーウィは神紀文明時代の先祖のヨーウィから脳を食らって神紀文明語を伝承していると考えられており、通常の手段では「会話」を習得できないのではないかと言われています。
 神の力が関わる際には神紀文明語の「発音」ができるという点から、「神紀文明語の会話は神聖魔法に似た奇跡の一種である」「神紀文明語はティエンスの[通じ合う意識]に似た能力を神々から授けられたものだった」という説もあります。

 
魔法文明語

 ラクシア全土で共通の魔法文明語は、魔法文明時代に各地で発生した断片を、テラスティア大陸で魔法王デュランディルが集大成したものです。アルフレイム大陸に大規模に伝わったのは、魔法文明時代中期、外部から侵略した魔法王達が伴った第一波の移民によります。魔動機文明の影響が比較的薄い大陸東部や蛮族社会においては、魔法文明語の使用は社会的ステータスの高さを示すものとなっていますが、大陸西部では魔術師・操霊術師や冒険者以外にはなじみの薄いものです。

 
魔動機文明語

 魔動機文明語は、テラスティア大陸かレーゼルドーン大陸で開発されて、魔動機文明時代の第二波の移民がアルフレイム大陸に伝えたものです。大陸西部においては社会的ステータスの高さを示すものとなっていますが、大陸東部では魔動機師や錬金術師、そして冒険者の間でのみ多用されます。魔動機文明を敵視していた蛮族においては知識が乏しく、しばしば魔動機文明語の注意書きを読めずに遺跡で死んでいます。
 ルーンフォークは魔動機文明語を母語としています。ジェネレーターでの育成過程で刷り込まれるため、誕生時点で基本的な会話を行えますが、誕生後の教育により集団ごとの癖が生まれます。
 レプラカーンも魔動機文明語を母語としています。レプラカーンの元々の母語については、魔法文明時代には魔法文明語を母語としていた事がわずかな史料からうかがえますが、それより前の時代については全く知られていません。母語が交易共通語に移行しなかったのは、「レプラカーンが魔動機文明にこだわりを持っていた」「少人数で隔絶して暮らすため一般社会に合わせる必要がない」などの説があります。「レプラカーンの言語が魔動機文明語のもとになった」と主張した異種族の学者もいましたが、ほかの学者達からは無視されています。

 
交易共通語

 交易共通語は、魔動機文明時代の簡略化された表現や俗語などを、改めて正式な表現として集大成したものです。魔動機文明語という共通の起源があるため、各地方・各大陸の交易共通語は、お互いに通じ合える程度の差しか生じていません。300年間正式な交流のなかったテラスティア大陸とアルフレイム大陸の間でも通用するほどです。
 タビットの母語は交易共通語です。魔動機文明時代には魔動機文明語を、魔法文明時代は魔法文明語を母語としており、元々の母語とかはそもそもないのではと言われています。書き物には神紀文明語を使うほか、家庭の内部では、魔法文明語、妖精語、魔動機文明語を用いる場合も割とあるようです。

 
汎用蛮族語

 汎用蛮族語は、神々の戦いのさなかに、神紀文明語を理解できない下位蛮族の軍勢を率いるために、ドレイクの将軍達が開発したといわれます。表現が単純すぎるために変化の余地が乏しく、ラクシアのどこでも大きな差はありません。込み入った話をするには、ドレイク語を使うか、蛮族であっても人族の交易共通語を使うかのどちらかです。


◇アイデアの欠片・アルフレイム編

 
 思い付き集です。


☆アイテム編

 
・バイシクル

 前後一つずつ、合わせて二つの車輪で走る乗り物です。魔動機関で走る魔動バイク(マギサイクル)に似ていますが、動力は乗った者の脚力です。現在の技術では魔動機文明時代のような高性能のものは作れず、基本的に実用化されていません。車両の製造技術が高いドーデン地方では新しく作られていますが、市街地でのみ普及しています。
 以下のものは、現在でも入手できます。運転はライダー技能で行いますが、戦闘用ではないため、攻撃を受けると基本的に壊れます。

(ユーティリティバイク)
 日常用です。移動速度は、舗装された路上では「敏捷度か筋力の高い方×1.5(端数切り捨て)」です。足場が悪い場所では「敏捷度か筋力の高い方×0.5」です(降りてから引いて歩きましょう)。備え付けられた籠に、部位2つ分の荷物を載せて運べます。
(ロードバイク)
 路上での高速走行に適しています。移動速度は、舗装された路上では「敏捷度か筋力の高い方×2」です。足場が悪い場所では基本的に走行できません。
(マウンテンバイク)
 不整地での走行に対応しています。移動速度は「敏捷度か筋力の高い方×1.5(端数切り捨て)」です。足場が悪い場所でもそのままの速度で走行できるうえに、「○悪路走破」で修正を-2まで無視できます。

 魔動機文明時代のバイシクルのパーツには、当時でも最先端の技術が用いられており、それを巡った戦いが冒険者のあずかり知らぬところで展開されているとかいないとか。

 
・ポメリウム

 〈守りの剣〉と同じような効果を持つ空間を作り出す儀式により生み出される区画です。範囲は様々ですが、大きくても小規模な街と同じくらいです。聖堂や〈剣の欠片〉がなくても永続的に効果が続き、〈守りの剣〉を無効化する能力でも無効化できませんが、ほとんどは神紀文明時代や魔法文明時代から維持されているもので、新しく生み出す事は基本的にできないとされています。

 
・〈守りの剣〉各種

 〈守りの剣〉にバリエーションを加える表です。

(見た目)
1D
1 装飾品の剣(武器としては使えない)
2 ソード:1H(魔剣として扱うが、ボーナスがあるとは限らない。以下同じ)
3 ソード:1H
4 ソード:2H
5 ソード:2H
6 ソード以外の武器、さらに1D
 1 スピア
 2 アックス
 3 メイス
 4 フレイル
 5 ウォーハンマー
 6 スタッフ

(範囲:半径)
1D
1 100m
2 200m
3 500m
4 1km
5 2km
6 5km
※上空や地下にも、〈守りの剣〉を起点にして球状に効果が及びます。

(時間)
1D
1 1日
2 3日
3 1週間
4 2週間
5 1ヶ月
6 4D日(儀式を行うごとに4Dで決める)

(効果の具体的な感覚)
1D
1〜5 苦痛
6 さらに1D
 1 睡魔
 2 嘔吐
 3 酩酊
 4 多幸
 5 悦楽(性的に未成熟な個体は多幸)
 6 肉体にも精神にも変調を与えないがペナルティのみ与える(範囲に入っても主観的には感知できない)


☆種族編

 
・エスピナ

 人間よりやや小さめな(全長1.5m前後)蜘蛛ですが、人族に属します。蛮族のフォルミカ(蟻人)が生物的には脊椎動物であるのとは違い、エスピナの身体の構造は完全に節足動物です。脚のうち後ろの4本で歩き、前の4本は腕の役割を果たします。とはいっても左右の2本ずつで人間の片手1本と似た働きをするため、装備できる武器や装飾品の数は変わりません。
 森林や洞窟など、立体的に動き回れる環境なら割と選り好みせずに定住し、通常は10前後のつがいと子供達が一緒に暮らしています。
 [暗視]を持つほか、[蜘蛛の糸]で、練技【スパイダーウェブ】と同様の糸を放てます。母語は魔法文明語です。

 
・ガイスト

 人型をした影のような、非物質的な蛮族です。ゴーストなどのアンデッドと勘違いされる事も多いですが、神聖魔法が「蛮族」と判定するため、賢者達は(しぶしぶと)蛮族と認めています。どうやって繁殖するかは知られていません。
 「暗視」を持ち、「○通常武器無効」もありますが、種別が「ソード」である武器を持つ事でしか物理攻撃をできず、防具は非金属鎧しか身に付けられません。母語はドレイク語かバジリスク語であり、集団により異なります。

 
・ジェイドビートル

 アルフレイム大陸東部の南寄りの森林で見られる、小さめの馬ほどの大きさのある翡翠色のコガネムシです。大きすぎて飛行能力はありませんが、顎の破砕力は十分に危険です。騎獣にする事もできますが、小柄で軽い種族(タビット、グラスランナー、レプラカーンなど)しか乗れません。


☆世界設定編

 
・“空隙(カオス)”

 ラクシアで極めてまれにある自然現象の一つです。空間に裂け目が入り、その部分を満たすように別の存在が挿入されます。“魔剣の迷宮”や“奈落の魔域”と混同される事もしばしばです。
 “混沌の大地”ケルディオン大陸の様子が、観測者によって証言が異なるのは、“空隙”が大量かつ重複して発生しているからだという説があります。

(後記)
 “混沌の大地”がなぜ混沌なのかを理由付け。皆様もオリジナルの理由付けを楽しんでください。

 
・魔動車道(マギフリーウェイ)

 アルフレイム大陸で鉄道が、テラスティア大陸で魔航船が発達したように、レーゼルドーン大陸では魔動車が発達しました。最盛期のレーゼルドーン大陸では、ほぼ全土を高速で走る魔動車のための道路――魔動車道が網の目のように結んでいました。高速で走る乗用魔動車、乗合魔動車、貨物魔動車が、人と物の行き来を支えていたのです。平原や高原が多く、行き来を妨げる山脈、湾や半島、大森林などが少ない地形も、道路網の充実の助けになったようです。
 〈大破局〉の天変地異でも大半の魔動車道は耐え抜きましたが、蛮族の侵攻を道路網が助けてしまい、魔動機に防衛を依存していたレーゼルドーンのほぼすべての国が壊滅します。その後は整備もされずに荒れ果てて、一部が蛮族の国に利用されるか、たまに逃亡した人族が利用するかで、ほとんどの魔動車道はレーゼルドーン大陸の奥でただ朽ちるだけです。

(後記)
 という理由付けで、各大陸の特徴を出せるといいなと思いまして。海や川を行く魔船艇が発達した諸島なんかもあるといいな。


◇アルフレイムの神話と伝説

 
 時代も場所も様々な二次創作話です。


☆アステリアの渡来

 
 レーゼルドーン大陸の神々の都で、日々を満喫する人々の姿にライフォスが満足し、ティダンが人々と暮らしを共にするなか、アステリアは物足りなさを感じていた。すでにアステリアと従者のエルフ達は、レーゼルドーン大陸もテラスティア大陸も隅々まで探検して、人の手が触れた事のない新しい場所を探していたからだった。
 ある朝、レーゼルドーンとテラスティアを跨ぐアレスタ海から、アステリアはエルフ達と、帆掛け船で東の彼方へ旅立った。エルフの数は十二を十二倍した数。十二の船に分かれて乗って、先頭の船にアステリアが腰掛けた。

〜海の冒険譚が続く〜

 いくつもの昼と夜を重ねたある日、船団は新たな大地を見出した。自然の力が大地にも空にも満ちて、小島が天の上を駆ける。
「ああ女王よ、これはいかなる不思議なるか。奇しくも妙なる大地なり」
 エルフの長が女神に拝し奉る。
「こは言いようもなく素晴らしき土地ぞ。広く歩き、広く見、ライフォス達にも伝えたし」
 女神の言葉を賜り、長は首を垂れた。
「そうあらば、速やかに舟艇を」
「そなたらは後につきて参りなされ。我は汝らを先導せん」
 女神は海に足を踏み入れ、波は女神の足を支えるかに鎮まる。
 水面を踏みしめて渡ったアステリアの足が、アルフレイムの大地に触れる。そこには[記録により異なる]が芽吹き、花が咲き誇った。

〜あとは長いので略する〜

 
(解説)
 アルフレイム大陸で最も親しまれている神話のエピソードで、本筋から異伝まで含むと本棚を埋め尽くすほどのバリエーションがあります。神々の都に近かったテラスティア大陸とは異なり、古代神には「海の彼方から来訪する神」としてのイメージが強くあります。
 バリエーションの中には、「リカントに人と獣の力を授ける」「美しい花に魅せられてメリアを創造する」など、アルフレイムならではのエピソードも豊富です。

(解説の解説)
 本気で書くと長いので適当に。あと実際のアステリアの言動はもっとカジュアル。


☆ラクシアの信仰概説と、異端信仰について

 
――とある“知識の剣”塔において――

「急募:ラクシアの信仰概説についてのレポートの材料」
「まあいいけど、随分大雑把な課題だよね。まあ入りたてだし」
「ありがと。えーと、ラクシアの人族と蛮族は、〈始まりの剣〉から力を授けられた神々を信仰している、っと」
「だよね。そこで掘り下げがいると思うんだけど、まず2通りあるよね」
「どんなの?」

「その1:信仰ってどういう事?」
「え、えーと、改めて言われると、照れるよね」
「簡単に言っちゃうと、“小さき人々”が祈りを捧げて微小なマナを神々に届けて、神々は神聖魔法やその他の奇跡として恩恵を授ける」
「ギブアンドテイク」
「まあそうだけど、そこには“小さき人々”側の意思も大事だから。親愛とか畏服とか献身とか、神様を支えたいという心理的つながりがあるから、神様とのつながりが生まれる……みたい」
「みたいって」
「完全にシステムとして解き明かされてるわけじゃないからね。肝心の神官達は、そんな解き明かそうとする発想自体持たないから」
「ああ、タビットが神聖魔法使えないのは、解き明かしたがる性格が神様に嫌がられるとか?」
「そこまで単純じゃないんだろうけど、『我は神だ』と言い出すのから、『タビットが存在できる事自体が神聖魔法の働きだ』と言う人までいろいろ」
「ルーンフォークは、人工の存在だから?」
「心理的に神様と通じ合えないのかなあ。もしくは人工的に作られた理性が邪魔をするとか。妖精が見えないのも考えると、人工だからってのが大きいんだろうけど、神聖魔法だと人族って判定されるから、神様に嫌われてるわけじゃないっぽい」
「ぽいって」
「だって真相分からないし」
「あ、そういえば、つながりって?」
「神様のしてほしい事を、自分から進んでするってのが大きいかな。ライフォスだったら『みんな仲良くしたい』『人族を守りたい』って風に」
「すごいよねー。私も神聖魔法ほしいー」
「神聖魔法という見返り目当てに信仰してるというのも、まあ蛮族に多いっていうけど、そういうのでも結果的には神様の意思に則った行動してたりするし、そういうのは意気投合タイプって感じかな」
「いきとうごう、っと」
「そのまま書かないで、いったんメモして図式化して整理するように。提出後に説明を求められても楽だよ?」
「はーいっ」

(かりかりかり)
「あ、その2は……」
「神様を信仰しない、別の何かを信仰する」
「え?」
「しばしばあるのが、〈始まりの剣〉を直接信仰するタイプだよね。神官でも『第一の剣の神々を全体的に尊重する中で、特定の神様を信仰する』ってのもよくあるし」
「ああー」
「第二の剣だとあまりないね」
「神様同士の仲が悪いから?」
「控えめに言っても悪いよね。あと、バルカンっていう地底の蛮族は、なぜか第二の剣の神々を嫌ってて、剣を直接信仰しているっていうし、ガネーシャっていう蛮族も剣を直接信仰して独自の修行をしているっていうけど、そこまで入りたてのレポートに要求されないかなあ」
「でも覚えとく。ほかには?」
「アルフレイム大陸だと、やっぱり奈落教。“奈落”を崇拝するという謎の教団」
「……ね、ねえ。一応聞くけど」
「関係ないから。もし関係あっても、先輩後輩程度でぶっちゃけるわけないし――ああ話は戻るけど、奈落教は“奈落”を崇拝しているのであって、魔神を崇拝しているわけじゃないよ?」
「そうなの?」
「うん。奈落教は『魔神は神々が与えた試練』と称してるから、魔神とかラーリス信者とかは仲良しじゃないし、たぶん」
「そうなんだ。でさ」
「ん?」
「ほかの大陸にも、神々じゃない何かを崇拝するのってあるの?」
「昔の話だけど、魔法文明時代、テラスティア大陸のカルゾラル高原だと、動物の祖霊を崇拝するという変わった思想があってね。妖精であり人族でもあるフィーが妖精を生み出すトーテムを守るっていうんだけど、それとの関係があるとかないとか」
(夜は更けていく――)

 
(解説)
 アルフレイム大陸の知識層(大半の冒険者を含む)における信仰の理解の、あくまでも一つです。ラクシアの人族にとって、信仰は根本的な常識であり、改めて考えるという事はあまりありません。教義の論争は人族では「カップリングの前後」とか「解釈違い」とかそういうレベルで収まるのが普通であり、蛮族は「それより力、力!」であまり考えません。

(解説の解説)
 神の影響が目に見える形で存在する世界での信仰のありようは、ファンタジーにおける大きな課題です。神の上にさらなる上位者がいる設定なら、その関係もより複雑になります。神官以外には何もできないフォーセリアの神とは違い、ラクシアの神は自分でもいろいろできますからなおさらです。
 個人的には、仏教でいう「法」が〈始まりの剣〉で、ラクシアの神は「仏」とか「菩薩」とかにあたるのではないかという、大雑把な見解です。

(後記)
 「水の都の夢みる勇者」3巻によると、奈落教、魔神へ対策する人や組織にテロ仕掛けたりする嫌にアグレッシブな組織らしく。まあ各地の支部も統一されて動いてるわけではないでしょうけど。


☆ころされたおうさま

 
 むかしむかし。
 ドーデンちほうのにしに おうさまがいました。
 おうさまは ライフォスしんでんでしゅぎょうをしていましたが おうさまをしていたおにいさんがしんで せんじゃのうらないで おうさまにえらばれたのです。

 おうさまはおそろしく きにいらないことがあると すぐにいいました。
 「ころせ!」
 そうして しょくじがおいしくないりょうりにんも えだのながさがきにいらないにわしも はんらんをとうばつにむかったししゃくも おうさまのきしにころされました。
 おうさまのちいをねらった ふくおうは ふくおうのしつじがとめてもきかず おうさまにせめられて しにました。
 キルヒアしんでんにいた おうさまのおとうとも ふくおうとなかよくしたとうたがわれて にげましたが ころされました。
 「このままでは きっと わるいことになります」
 そういった きゅうていまじゅつしも おうさまに なかなおりにいったでしをだましうちにされて とうをやいてしまいました。
 もう だれも おうさまをとめません。

 おきさきの おにいさんも おうさまにきにいられなくて おしろにとじこめられて しまいました。
 あるひ おきさきにおうじさまがうまれて おきさきのおにいさんがとじこもっているおしろに おいわいのひとがきました。
 おうさまは きにいりません。
 つぎのよる あんさつしゃが おにいさんのおしろをおそって おにいさんはころされて そせいできないように くびをきりとられました。
 あんさつしゃのうわさをした まちのひとたちも ころされて くびをきられました。
 ティダンの こうしさいは にっきに かきました。
 「みんなが おうさまに おびえている」

 ちいさな はくしゃくが みやこにいました。はくしゃくのせんぞは おうさまのせんぞをたすけて あたらしいおうさまにしたひとでした。
 おうさまは はくしゃくのはとこをかわいがって はくしゃくのりょうちを なんども とりあげようと しました。
 はくしゃくは じぶんのおしろに とじこもってしまいました。

 おうさまが しんだふくおうのこどもたちをころして かえってきました。
 そこに はくしゃくのこどもから つかいが きました。
 きげんのいいおうさまが でむかえると つかいは てがみをさしだしました。
 てがみをひらくと こう かいてありました。
 「サンダーバードのひなが てにはいりました。
  たたかいにかったきねんの えんかいをしますので サンダーバードのひなも みにきてください」
 はくしゃくのいえは おうさまのためのおいわいのおどりをおどるのも やくめのひとつです。
 なかがわるくても さそわれたら おうさまも いかないわけにはいきません。

 おうさまは はくしゃくのはとこや おうさまのきしたちや えらいきぞくたちをつれて はくしゃくのおしろにいきました。
 はくしゃくは おいしいりょうりや うつくしいしなもので でむかえます。
 おうさまがたのしくしていると はくしゃくは おいわいのおどりを おどりはじめました。

 「サンダーバードのひなが はやくみたいぞ」
 おうさまが そうやって つぶやいていると おしろのどこかで さわぎがありました。
 「なんの さわぎだ!」
 おうさまは あたまにちがのぼって さけびました。
 えらいきぞくが 「あれは かみなりでしょう」といいますが いらいらしたおうさまは またさけびそうで きしたちは なにもいえません。
 はくしゃくのこどもが いいます。
 「うまやの ティルグリスが あばれています!」

 きぞくたちが さわぎます。はくしゃくのはとこは フランベルジュをかまえて おうさまをまもろうとします。
 そこに ぶきとよろいにみをかためた はくしゃくのきしたちが やってきて ベク・ド・コルバンで はくしゃくのはとこを なぐりころしてしまいました。
 おうさまのきしたちが よろいもきていないのに たちむかいますが はくしゃくのきしたちが アールシェピースや シェルブレイカーで つぎつぎと ころしていきます。
 きぞくたちは なんにんかがたたかいましたが おおけがしたり ころされたりします。なんにんかは にげてしまいました。おうさまのしつじも ひっしでにげました。
 おうさまは きしにあずけていたスコーピオンテイルを とろうとしますが きしがころされて うけとれません。
 はくしゃくが グレイヴをふりかざします。

 すぱん!
 グレイヴで おうさまのくびが おとされました。
 はくしゃくは グレイヴのさきに おうさまのくびをつきさして おしろをやいて りょうちにひきあげます。
 「おうさまは しんだぞ!」
 「おうさまにおびえない ころされない くにを つくるんだ!」
 ティダンの こうしさいは にっきに かきました。
 「こんないぬじには むかしから きいたことがない」

 こうして、あたらしいくにのなまえは おうさまごろし(キングスレイ)。
 みやこのなまえは おうさまのくびがおちたところ(キングスフォール)になりました。

 
(解説)
 キングスレイ鉄鋼共和国と、首都キングスフォールの名前の由来……のおとぎ話です。時代設定はあやふやで、魔法文明時代とも、魔動機文明時代の前期ともとれる描写です。
 知られている限りでは、キングスレイは魔動機文明時代のかなり古い頃から共和制で、キングスレイは「王の光条」か「王の横たわる所」、キングスフォールも「王の滝」という意味ではないかという反論があります。

(解説の解説)
 だいたい足利義教。仮名だけにするとファンシーに……全然なりません。


☆大地に呑まれた戦神

 
 神々の戦いの最終決戦。
 迎え撃つはライフォスが率いる百万の聖なる戦士達。
 挑むはダルクレムが従える百万の怪物の群れ。
 生きながらに“穢れ”を受けて身も心も歪んだ哀れな者どもを、[以下欠落]

 [欠落]ダルクレムはライフォスの防御の構えを崩しきれず、グレンダールの剣に足を払われて、もんどりうって下の大岩を、数十の蛮族もろとも、ゼリーめいて叩き潰す。
 怪物どもは四散して逃げ惑うが、戦士達は傷付きまたは倒れて、追撃戦には移れなかった。
「そなた達は下がりなさい」
 キルヒアが戦士達を癒しながら言った。
「神の戦いは、神が決着をつける」
 第三の剣、ダルクレムが手に入れんとして、その手から逃れて千々に砕けたカルディアの緑の輝きが、キルヒアの身から放たれていた。

「諦めよ」
 アステリアが、いかなる氷よりも冷たく言い放つ。
「もはや人の子ではない、第二の剣の力に溺れた怪物よ。この場から下がり、怪物どもの王として生き延びるのだ」
「諦めぬ!」
 ダルクレムを厭うように力をぶつける妖精達を振り払うように、イグニスの赤い輝きをその身から放つ悪神は、九つの腕に九つの武器を構える。
「すべては、余のものだ! ラクシアも! 剣も!」
 戦神の隠していた二本の腕が、弓に矢をつがえ、放つ。それを予期していたかのように投げられていた金属の星が、矢の勢いを殺して受け流した。
「油断するな、アステリア。シーンのためにも、君を無事に帰す務めがある」
「いつも奥様の事が念頭にあるのね」
 避けようとしたところに割り込まれて、ティダンのいつも通りの落ち着いた様子に、アステリアは緊張を和らげた。
「そして気付いてみろ、娘っこ」
「何をですの。もったいぶらないで」
 アステリアの疑問に、口数少なきグレンダールは、自身を、相手を、そしてダルクレムと対峙し続けるライフォスを指さす。
 第一の剣、ルミエルの青き輝きを帯びたライフォス達は、足元が大地から軽く浮かんでいた。

 そしてわずかずつ、しかし着実に、第一の剣の神々は大地から上へと遠ざかる。ダルクレムは罵る。
「逃げるのか、ライフォス!」
「引き離されるのだ。我々はラクシアを傷付け過ぎた。〈始まりの剣〉の摂理が神々の戦いを分かち、しかるべき日が来るまで会う事はないだろう」
「たわごとを!」
 ダルクレムは新たに翼を生やし、ライフォスを追おうとする。その足元に無数の土が膨れ上がり、弾けた。
「あああおおお」
「ううううううう」
 第二の剣の神々。生きた神も、死んだ神も、無数の腕を、触手を生やし、ダルクレムを大地に繋ぎ止める。
「邪魔をするな!」
 ダルクレムが無数の腕で武器を振るうが、いくら斬り飛ばしても、叩き潰しても、第二の剣の神々の、引きずり込もうとする動きは止まらない。
 ダルクレムは自らの身体が重さを増していくのを感じながら、怒りがそれを認めまいとして、武器を振るう。
 地層が割れる音が、戦神の怒号を押して響き、[以下欠落]

(解説)
 神々の戦いの終わりについての伝承の一つで、神紀文明末期から魔法文明時代初期に記された石碑や黄金板に多数見られる話です。
 ダルクレムが大地に呑み込まれたのは、「第二の剣に引き込まれた」「第二の剣の力を引き出しすぎたからだ」「あまりの邪悪さに大地の底に呑まれた」などの説がありますが、「そもそも現場を誰が見ていたのだ」「キルヒアが遠くから見ていたのでは」「それならキルヒアはどこへ行ったのだ」「古代神に聞くために【コール・ゴッド】してみろ」「それだけのためにできるわけねーだろ」などにより、魔動機文明時代に大騒動になり、それ以来放置されています。テラスティア大陸のザルツ地方の“神のきざはし”の上にほぼ確定されている第一の剣の神とは違い、第二の剣の神がどこへ行ったのかも定かでならず、「ダルクレムが大地に飲み込まれた場所」を名乗る所はラクシア全土に数多くあります。

(解説の解説)
 ほんとにどこへ行ったんでしょうね、ダルクレム。
 怪物めいたダルクレムの姿は、「2.0」リプレイ「Rock'n Role」の「全ての蛮族の攻撃的な部位を備えたダルクレム神像」や、インドの多腕の神様から思い付きました。各種別ごとに1つの武器を持ち、ついでに頭や脚も増やしておきましょう。


◇アルフレイムの日常

 
 アルフレイムの「今」をホットに採り上げる二次創作です。


☆ラクシアにおけるエロ規制

 
キングスレイ鉄鋼共和国出版法第X条第X項のX
性的欲求を掻き立てる描写がされた表現物(魔動機術による記録媒体を含む。)は、これを各種族の成人年齢に達さない者が閲覧、所持、入手する事を禁ずる。

アルショニア女王国表現規制法第X条
性的表現は、これを公開できる形式で表現する事を禁ずる。規制による損失に対しては、賠償を認めない。

ラージャハ帝国勅令第XXX号
すべての出版は検閲を要する。
補則勅令第1号
出版には活版印刷以外の手段(手書き、掘り込み、絵画など、視覚で認識されるすべての形態。)を含む。
補則勅令第2号
検閲とは(以下長いので略する)。
補則勅令8号
検閲済みの出版を再版する際には検閲を省略できる。
補則勅令第17号
国外で作成されたものを国内へ持ち込む際には検閲を要さない。販売する際に初めて検閲を要する。
補則勅令第54号
〈大破局〉以前に作成されたものに対して検閲は及ばないが、再版する際には検閲を要する。

セブレイ森林共和国の裁判官
「エロの規制ねえ。エロ絡みで違法な事してなければ別にいいんじゃね? ああ、趣味としては和姦がベスト。無理やりは認めない」

鮮血海沿いの蛮族領のバジリスク
「バルバロスに規制はない。そして創作を人族の国で密売させる」

アイヤール帝国議会大陸新暦XXX年X月X日
「ルーフェ……ルー様とジークの……ジークハルト・デーニッツ氏とのいかがわしい本が出版されていた件についてですが」
「落ち着いて下さるかな、エアリサーム高司祭。公の販路に乗らない限り、帝国の――あるいは〈領〉の検閲の対象にはならないのだよ」
「もちろん知っていますがそれでも、これは神……もとい、神殿長に対する不敬罪ではないでしょうか!?」
(興奮したエアリサーム高司祭が黒杖官により退場させられる)

セフィリア神聖王国議会大陸新暦XXX年X月X日議事録
XX伯爵「ですから、このようないかがわしい出版物は規制してしかるべきであり」
XX司祭「XXX年の判例にもある通り、性的表現は、劣情を催す事を目的とするものでなく、端的に事実を表現するもの、および内容が倫理的な創作であるものについては、それらを規制の対象としてはならないものである。いいね?」
XX伯爵「アッハイ」

 
(解説)
 性的表現に対する規制は、国によって様々です。魔動機文明時代には国によって様々な法規制があったようですが、〈大破局〉以後はそんな余裕のない国も多く、よほど体制のしっかりした国でない限り、魔動機文明時代の法令をそのままコピーしています。魔動機文明時代後期の経験則で「性的表現への過剰な規制は文化自体へ有害である」との見解がありますが、先進的な地域以外ではあまり広まっていません。
 組織によっても、主張に大きな差があります。ライフォス神殿は規制にあまり関心はなく、所在する社会の平均的な見解に近くなります。ティダンやシーンの神殿は、「ノーマルな描写」については、未成年にアクセスさせない限りは寛容です。アステリア神殿は割と緩く(というか厳しく規制すると神話が大変な事に)、特定の対象への侮辱にならない限りは規制に反対する事が多いです。グレンダール神殿、イーヴ神殿、ハルーラ神殿は禁欲的な傾向があり、厳しい規制を後押しする事もあります。ミリッツァ神殿は女性を対象とする表現には厳しいですが、男性が対象となる事についてはそれ自体をスルーしがちです。キルヒアやミルタバルの神殿も、知識の妨げとなるような表現規制には否定的です。冒険者ギルドは「性的表現も知識の一つである」という事から表現規制に批判的で、マギテック協会と手を組む事が多いです。魔術師ギルドは性的表現について基本的に無関心で、遺跡ギルドは表面では無関心を装いながら規制される物品を裏で売買しています。
 蛮族は、性的表現を規制するとかそういう事はあまり考えません。どちらかというと、ドレイクは「はしたない」と抑圧的で、バジリスクは「楽しむならいいじゃん」と開放的な傾向があります。

(解説の解説)
 魔動機文明時代の技術水準は、現実世界の20世紀初頭レベルに達していました。創作でいうと、「怪盗ルパン」とか「ゴールデンカムイ」とかが近いのですが、通信ネットワークとか同人誌即売会とか、ときどき逸脱したものがあるので、頭を痛くしつつ楽しむところです。
 そんなわけで、特筆されなければ「検閲制度はある」「だけど大半の国では、不敬罪とかの大きな案件ではない限り気にしない」あたりにしています。意外な所が厳しかったり、意外な所がゆるかったりで楽しみましょう。
 ちなみに、キングスレイは「プレイヤー感覚に近い規制」、アルショニアは「こじらせた規制」、ラージャハは「方針がなくて迷走した規制」、アイヤールは「連邦制国家における法律問題」、セフィリアは「伝統と規制が一致するとは限らない件」を意識しています。


☆ナイトメアの悪夢

 
 ご存知の通り、ラクシアの人族の突然変異であるナイトメアは、寿命が確認されておらず、事実上の不老不死です。
 不老不死は魔法文明時代の魔法王も憧れ、そして達成できなかった永遠の夢ですが、蛮族も生まれつき持ち、多く溜まるとアンデッドとなる“穢れ”は忌避されるもので、また生まれる際に角で母体を傷付けるナイトメアは、魔法文明時代から差別を受け続けてきました。
 個体数も少なく、実態がよく知られていないナイトメア。その悩みにインタビューしてみます。

 
 ナイトメアとして生きていく上での悩みというと、やはり差別でしょうか。
「まあ、今は差別意識あるといっても、露骨な差別とかは都会だとあまり受けませんし、冒険者社会とかは理解もありますから」
 そうですか。人間のふりをしていたけど……という話はよく聞きますけど。
「あれは行き擦りの相手にだけですね。何年も近くにいるとどうせわかりますし、夏に水着になれない、半袖着られないってのもつらいですよ」
「ご近所さんには早めに、さりげなく明かしますね。そこで遠ざかるような人とは深く付き合いませんし、驚かないふりをする人もちょっと信用なりません」
 難しいですね。
「まあ関係は一時的でも、生き過ぎてタイムスケール壊れてる人でもない限り、時間感覚は変わりませんし、嫌に思いながら過ごすのって……ねえ」
「わざと隠して、ばれるまでの日数で、相手の観察眼を確かめる事もあります」
「それ意地悪ですよー」
「あははー」
 奥深い事情です。
「まあ隠そうとしたら、角だけじゃなくてあざも目立ちますからね。あと就職もですが」
 就職……。
「そうそう。年功序列の職場だと上に行かせてもらえずずっと下働きですし、そのくせ職場に一番慣れているからって責任持たされるし」
「エルフやドワーフなんかも、人間が多い職場だと大変だって聞くけど、それ以上にね」
 大変ですね。そういえば王族や貴族でも、ナイトメアに継承権を持たせない家が多いって聞きますけど。
「上司がいつまでも死ななくて、しかも気が合わないと、『いっそ殺しても』ってなりやすいですからねー」
 そんな魔法文明時代の魔法王みたいな。
「だからナイトメアは冒険者になりやすいし、ずっと現役冒険者続けやすいんですよ」
「他に行く当てがないともいうけどね!」
「そんなやけ起こさないで」

 で、話は変わりますけど、それ以外の悩みでは。
「収入の次は、健康かな」
 健康ですか。
「そうです。ナイトメアは自然死しないので、死ぬ時は大概、事故か病気ですから」
「ナイトメアは割と社会に適応できない例が多いんで――私含む――、たくわえとかサバイバル技術とかできると、そのまま森とかに引きこもる事が多いんですよ」
「そして収入が尽きそうになるといやいや社会復帰する」
「やかましい」
 え、えー、人里離れた所にいると、病気とかしたら大変ですね。
「神官とか妖精使いとかなら、怪我や病気もある程度何とか出来るんですけど」
「そういう人は近所で頼られるから付き合いもあって、万が一の時に発見されやすいんですけど、魔術師や操霊術師だと怖がられて、万が一の時に手遅れになりやすいんですよね」
「歯医者がいない時代だと、虫歯の痛みで自殺したナイトメアもいたって聞きます」
 歯は大事ですよね。
「ただ、ナイトメアは100年くらいで歯が再生するとかいう話も」
「角みたいに再生すれば楽なんですけど」
 え?
「まあ実態は不明という事で。魔法文明時代じゃあるまいし、不老不死の妙薬としてナイトメアを狙うあほとかはいないと思います」
 は、はい。
「あと、長生きしてると、周りの人がみんな死んでいくっていうのもつらいみたいです。エルフ生まれやドワーフ生まれもそうですけど、人間生まれは特に」
 どんな感じなのでしょう。
「老衰した曽孫の介護に疲れ果てて冒険者に戻ってきたナイトメアの話でもしましょうか」
 すみません。

「でもさー、リルドラケン生まれのナイトメアは、他の皆さんと違うよね?」
「そうですね。母体を傷付けないから差別受けませんし、器用で頭いいからって定職も持ちやすいですし、リルドラケン生まれの方々は、陰にこもった感じがしなくて、生き生きしてると感じます」
 ですけど、人間が多い社会ではいろいろと。
「まあねー。いちゃもん付けたい奴は『明るくしててむかつくんだよ』とか言うし、もっとひどい迷言だと『俺の差別は正しい差別』ってのもあるし」
「その手の人がある夜、ライフォス神殿横の路地で消息を絶った話でもしましょうか」
「インタビュアー脅すのやめなさい」
「はーい」
 有難うございます。少し方向を変えて、リルドラケン生まれならではの事とか。
「羞恥心がない」
 え。
「厳密に言うと、姿が人型でも精神的には『ちょっと形が違うリルドラケン』なので、羞恥心がリルドラケンにしか働かないんです」
「ええー? ほかのみんなは角の角度とか鱗の肌触りとかで興奮しないの?」
「「「しません」」」
 なるほど。恋愛とかもやはり、リルドラケンと?
「ナイトメア同士……同士っていうのも当てはまるかだけど、リルドラケン生まれ以外だと、結婚しても子供作れないからね」
「むしろ作れないからいいのかもしれませんよ」
 家族ができると重荷になるとか、ですか?
「じゃなくて、ナイトメアでも生殖は元の種族と同じだから、女性のナイトメアがリルドラケンサイズの卵を身籠ったりしたら」
 大変な事になりますね!
「それ以上怖くて聞きたくない気持ちは同感です」
「だねー。そういうわけで、リルドラケン社会のナイトメアも独身が多いの」
 複雑な話を伺わせていただきました。
「だいぶ話を戻しますけど、人型の種族に対する羞恥心が薄いから、割と露出高めな格好の子を見ると、あーこの子リルドラケン生まれだなーって、なんとなく思うんです」
「大柄であざも目立つから、すぐナイトメアだってわかるんですけど、リルドラケン生まれだと種族を隠そうとは思いませんから」
「むー。人前で脱いだりは、言われてからはしてないのに」
 言われるまでしてたんですか……。

 
(解説)
 ナイトメアには差別以外にも悩みは絶えません。人間の幼馴染が50歳越しても20歳の外見で怪しむとか、商会や役所でくすぶっているナイトメアの事務員が重大な機密を握っているとか、森の奥に引きこもっているナイトメアの高レベル冒険者を説得するとか、服が邪魔で脱ぎたがるリルドラケン生まれのナイトメアに服を着せるとか、いろいろと冒険や日常でのナイトメアならではの事が待ち受けるかもしれません。

(解説の解説)
 インタビュアーは人間で、話し手のナイトメアは4人です。各種族生まれが1人ずついる事以外は、特にそれ以上の設定の想定とかはありません。
 ところで、ナイトメアって若い身体のままという事は、必然的に性欲も。
「やめなさい」
「『彼女にしたかったのにご先祖様だった件』とか、魔動機文明時代の小説でいかにもありそうで」
「だからそーいうのもやめい」


☆ラクシアにおける教育制度

 
――ユーシズ魔法学校にて

(う〜〜〜〜〜〜〜〜)
「今日の授業はここまでです。来週までに課題は片付けてね」
「「はーい」」

「そういえばさ」
「ん?」
「キミって転校生だけど、ここに来る前は、どんな所にいたの?」
「ハーヴェスの初等学校(プライマリスクール)。8年制だけど6年までいて、ユーシズに留学に来たんだ」
「ふーん。ユーシズの教導所は6年なんだよ」
「国によってちょっとずつ違うんだね」
「ハーヴェスだとどんな事を習うの? やっぱり交易共通語・算術・神学・あと何だろう?」
「交易共通語と算術はあるけど、神学はなかったなあ。歴史とか理科とかあったけど」
「え!? 神学ないの!?」
「ん、まあ、神様の事は歴史の初めでちょっとと、あとは家で教わるかな。『せーきょうぶんり』とかお父さんが言ってたや」
「ふーん」
「そして魔法とかじゃない、他の難しい勉強をする人は、4年制の中等学校(セカンダリスクール)、さらに上だと大学(ユニバーシティ)。そこまで行くのは、魔法学校で研究者になる人と同じくらい少ないけど」
「すごいなあ」

「マカジャハットだと4年。その後は徒弟に入る事が普通。私も近所の魔術師に紹介された」

「ラージャハで遊牧してたから、部族の妖精使いがいろいろ教えてくれたなあ。たまに立ち寄る町で本を買って読み聞かせてくれたり」

「ミラージでも6年だけど、それより上は学校がないから留学する。ハーヴェスとかラージャハとか大きな国に」

「魔動死骸区に学校なんてない。親に全部教わって、魔法学校のスカウトに応じてここに来た」

「ドワーフの街だと、氏族で読み書きとか教わるよ。あとは神殿で神学とか交易共通語とか、氏族の中で勉強しにくい事をね。俺はナイトメアだから氏族にも神殿にもいるのがつらくて……ねえ」

「エルフの村だと、神殿で主日ごとに神官さんに教わりながら、平日は親とか近所の人とかにいろいろ教わってたっけ」
「何歳くらいまで?」
「15歳くらいかなあ。そこからは好きな事を追求して……うん、学びに限界はないって神官さんは言ってたけど、人によってさまざま」

「ルーンフォークはですね、ジェネレーターで基本的な教育はできてますけど、大抵は何年か集落で訓練を受けるんです」

「メリアもエルフと似た感じかなあ。草花種の子は物覚えが早いけど、私は樹花種だから大きくなるのに時間がかかって。草花種の子が私を追い越して成人して、種を産んで、子供を育てて、その子供も私を追い越して、枯れちゃって」
「…………」

「どうしました?」
「あ、先生。ここに来るまでに、みんないろいろな人生を歩んできたんだなって」
「人それぞれですね」
「そして6年くらいでここを出て……」
「〈始まりの剣〉と神々の導きがあれば、また道も交わりますよ」
「ですね。……だといいなあ」

 
(解説)
 魔法文明時代までは、教育は家庭と神殿がおもに関わっていました。初等教育は家庭内や共同体の神殿で行い、生活に必要な最低限の読み書きを終えた先は、そのまま何らかの職業の徒弟となるか、神官や魔術師などが家庭教師となる、あるいは親が神官や魔術師なら自分で子弟を教育していました。
 魔動機文明時代の前期に、神殿の神官ではない、神官個人や俗人が初等教育を教える学校(はじめは私塾、のちに公立の学校)が生まれます。それとは関係なく、高等教育を求める人々(貴族や富裕な市民の子弟)が学者に謝礼を支払い集団で勉強を教わるようになり、学者ギルドから高等教育機関である大学が形成されたり、政府が官僚育成のために学者を集めて大学を作ったりしました。初等教育と高等教育をつなぐ中等教育ができたのは魔動機文明時代でも中期になりますが、中等教育まで受ける事が一般化するのは魔動機文明時代の後期で、末期になっても都市部以外では初等教育のみなのが普通でした。
 〈大破局〉では教育機関もダメージを受け、施設の閉鎖や学生の戦場・生産活動への動員などにより、多かれ少なかれ教育水準は低下します。その後の復興期には、教育への重点の度合いにより教育水準の回復は異なりますが、おおむね教育に熱心な社会の方が復興も早く、地域による教育格差は魔動機文明時代より大きくなっています。
 ブルライト地方(や、アルフレイム大陸のその他のほとんどの地方)では、大きな都市でのみ中等教育や高等教育を受けられます。ドーデン地方では、キングスレイでは小さな町でも中等教育を受けられますが、それ以外の国では中程度以上の街でのみ中等教育を受けられます。冒険者ギルドやマギテック協会や様々な神殿は初等教育や中等教育の支援にも力を入れており、魔術師ギルドは高等教育に、キルヒア神殿はすべての段階の教育に支援をしています。遺跡ギルドでさえも、裏社会や底辺で生きる人々が仕事に支障をきたさないように、夜学に支援を欠かしません。
 教育機関で使われる言語は、初等教育から中等教育ではおもに地方語、高等教育ではおもに魔法文明語や魔動機文明語です。幼少期に別の地方や別の種族の間で教育を受けた場合は、特技枠を1つ使用して特技《マルチリンガル》を習得し、母語を追加できます。

戦闘特技データ>選択習得の常時特技
《マルチリンガル》
前提:冒険者レベル1以上
概要:言語を1つ追加
効果:習得者は、いずれかのPC種族が使う母語を1つ、追加で習得します(どれが「母語」なのかは、最終的にGMが判断します)。その言語の「会話」「読解」を(あれば)両方習得できます。この特技を取得した後に、技能で追加される言語が重複した場合は、特に保障措置はありません(GMの許可を受けたうえで、データをリビルドしましょう)。
 「2.5」基本ルールで習得できるのは、以下の言語です。
  人間の各地方語1つ、エルフ語、ドワーフ語、魔動機文明語、交易共通語(※交易共通語を初期習得しない蛮族のためにリストアップしています)、ドラゴン語、グラスランナー語、妖精語

 なお、これらの事情は、おもに人間社会におけるもので、それ以外の種族は事情が異なります。エルフは神殿や集落で学び、成人後も仕事の傍らでお互いに学び合い、生涯にわたって多くの知識を身に付けます。ドワーフは氏族の長老が教育を行い、内部で学びきれない範囲を神殿などの外部で補います。ルーンフォークはジェネレーターで生まれつき与えられた知識に加えて、集落で生活に必要な知識を身に付けます。リルドラケンやメリアは集落単位で、グラスランナーやレプラカーンやティエンスは家族単位でおもな教育を受けます。蛮族は家庭やごく一部の氏族・神殿でしか教育を受けないため、上位蛮族であっても、特に戦闘に関わらない分野の知識においては、人族の基準からすると信じがたいほどばらつきがひどく、「蛮王は割り算ができない」というブラックジョークもあるほどです。

(解説の解説)
 教育機関の発達過程は、現実のヨーロッパを参考にしています。〈大破局〉による教育への打撃は、第一次大戦をイメージしてさらに拡大しています。
 PCは全員が交易共通語を読み書きできるのですが、どこで習ったのでしょうか。……「多言語環境で否応なしに」というのもある程度は正しいのでしょうが、「交易共通語を使えないと冒険者になれない」とかだったら……。


『ソード・ワールド2.5』:(C)北沢慶/グループSNE/KADOKAWA

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